平成27年度事業実績報告

自立の一歩「職場体験」 意欲とやりがいを  

NPOホットライン信州は社会的包摂に向けた2015年度事業で、電話相談を軌道にのせるとともに、病気や失職による生活困窮者を対象にした「職場体験」の取りくみを本格的に行っています。訓練に参加する人たちに、自立のための仕事の技術と、心身両面の備えを心がけてもらうのがねらいです。

それと同時に、ホットライン相談員、指導員にとっては訓練で一緒に汗をかき、電話相談では果たせない“生身の困窮の姿”が見え、どう寄り添っていくかのヒントが得られる交流の場になっています。

 

◆支援に大事な「相談者から教えてもらう姿勢」

電話相談から面談・同行への進展は、生活困窮者の自立支援の大切な道すじです。そのための「職場体験」「就職研修」「居場所づくり」の3本柱の取りくみは、ホットライン信州の相談員・指導員にとっては思考錯誤の連続です。

電話の内容が当初「一方的」「感情的」「矛盾している」「事実ではない」印象であっても、現に相談の電話をかけているという事実こそが重要です。その発信になにが込められているのかを“相談者から教えてもらう”という姿勢で、誠実に向き合う心構えが求められます。

さらに、留意しなければならないのは「相談者の人生、悩みごとを一番よく知っているのは相談者自身」ということです。そのため、実際の現場で心がけるのは▽その人に寄り添う ▽制度にとらわれない ▽対等なお付き合い ▽多様な協働 ▽自立のお手伝い-といった5つのポイントです。

担当者は「電話や面談だけではわからない相談者の姿が、一緒に汗を流すことで、より見えてきます。たとえば、仕事の説明をした時の理解度・継続性・自ら行う工夫などを把握することができ、就労支援を行っていくうえでたいへん参考になります」と話している。

 

◆働き盛りの若者や中年フリーターが300万人を超えている・・・

「このままだと堕落してしまう」再起へ体慣らしの中年フリーター

 

職場体験の一環として、就職氷河期時にフリーター(非正規)として企業や飲食店をリストラされた後、ネット喫茶や車の中の寝泊まり生活が続いたため、再就職への意欲と行動力が低下してしまったという中年男性の再起への支援も行ってきました。

「なんとかしたいのに体と行動がついていかない。このままだと堕落してしまう。誰かの力を借り自立したい」と、支援に積極的に応じました。体づくりも兼ねて樹木の雑枝処理や簡単な職場体験を重ねています。

また、うつ病と不眠症に悩む20代の若者の自立を支援する試みもあります。学校でいじめに遭い、今に至る社会的孤立感と生きづらさを抱えており、周囲と少しずつコミュニケーションがとれるよう、支援団体を通じて清掃や庭木の手入れ作業、デスクワークで働くスキルアップと社会適応をめざしています。



  相談⇒面談・同行とは! 

「相談者を否定しない」「相談者の存在そのものを認める」

「相談者の立ち位置に、相談員が自ら出向いて・・・

 同じ位置に立ち一緒に考える」

■ その人に寄り添う (依存とは違う)

■ 制度にとらわれない(なかったら創る)

■ 対等なおつきあい(上下の関係でない)

■ 多様な協働   (つながる力)

■ 自立のお手伝い (決めるのは本人) 


注意したい7原則


1. 自己覚知がとても大事。

 相談の商売道具は相談員自身なのです。よって、利用する自分自身を知ること(自己覚知)は必要不可欠です。自分の得意なこと、苦手なこと、癖などの性質や性格などを自覚したうえで、常に学ぶ姿勢を忘れてはなりません。

2. 相談者に敬意を持ち、誠実に対応する。

 相談者に対し、「むかつく」「くどい」「本当に、どうしようもない人」などといった悪口や批判をもらす前に、相談者を批判的に捉えている自分に気づいて、相手に誠実に向き合うにはどうすべきかを考えることが大切です。

3. 気になることをアサーティブ(自他尊重して)に伝える。

「もっと、こうした方がいいのではないか?」と思ったら、黙っていないで直接さわやかに伝えます。建設的な受容を伝えることをためらったり、気になるのに黙っていたりすると、相談者は気づきの機会を逃しかねず、相談の質向上にもつながりません。

  相手の気になることを伝える時のコツは、①評価や審判をせず、客観的に具体的に起こっている状況や自分が感じたことを伝える、②相手の立場や姿勢への理解を伝える、③代替案を伝える、の3点です。また、「でも」を使うと、その前の事柄が否定されたと感じてしまいます。「そして」を使うと、その前の事柄を認めつつ自分の考えも伝えることができます。

4. 職場体験・就職研修・居場所づくりで、一緒に汗を流すことで気付くことがある。

  面談だけでは分からない相談者の姿が、一緒に汗を流すことでより見えてくることがあります。例えば、仕事の説明をしたときの理解度・継続性・自ら行う工夫などを、相談員が把握することができ、就労支援を行っていく上で、大変参考になります。

5. 職場体験・就職研修・居場所づくり実施報告

研修テーマ    高級家具組み立ての職業体験実習

参加対象と人数  研修生3名・指導員2名・スタッフ1名、計6名

実施日時と場所  2015年9月24日(水)10時~16時、 松本市並柳 O様宅

研修の目的    家具職人の仕事への姿勢を体験的に学ぶことにより、仕事への心構えを修得すると

         ともに、達成感から就労への意欲を喚起する。


      高級家具組み立てに挑戦 清掃作業や雑枝の処理

   ◆家具実習-作業前の手順の大切さ 仕上げ品保管の「鉄則」を学ぶ

   高級家具組み立ての実習は924日、松本市内の支援者宅で開き、研修生と指導員スタッフら6人がともに認め合いながらさわやかな汗を流しました。

   実習には、以前に家具屋に勤めていた経験をもとに、就労をめざしている若者も含まれており、実践的な訓練となりました。手始めに必須のこととして重視されたのは、組み立て前の作業手順をきちんとすること。

  ▽部品のチェック ▽手順どおりに部材を、部品を並べて置く-ことの2点。これにより、組み立て始めてから部品の不足や手順に迷ったりしないためです。実際の作業では、あらためて手順を共有し意思の疎通を図ったことにより、安全でスムーズに進め、きれいな仕上げることができました。

実習の締めくくりには「鉄則」があることが強調されました。商品となる家具に傷がつかないよう、毛布などできちんと包装し保管することです。

この日の実習は解体から現地での組み立てをはさんで約6時間。研修生たちは「今後の仕事に意欲とやりがいを感じた」「就職活動の参考になった」と、ものづくりの喜びと感動を口にしていました。



参加者の感想など 今後の仕事へ意欲とやりがい、更に就職活動の参考になった。

効 果      この職業体験を通じて、仕事への意欲が出てきたので、今後の就活に生かせる。

 

早期就職支援講座 報告書

112013時~NPOホットライン信州による「早期就職支援講座」をハローワーク関係のパソコンスクール「M」において、開催した。生徒・指導員ら12名。生徒全員真剣に再就職を希望している方々である。

前半は、青木専務理事による講義を行った。深刻な非正規労働者の増加により、人々の生活が不安定になりひいては日本社会全体が揺らいでいる現状について熱心に講義してくださった。受講生は現実の厳しさに改めて直面し身の引き締まる思いであった。

また、実際企業が求める人材、履歴書の書き方、面接の受け方のついでの講義では具体的な話が盛り込まれ大いに役立った。たとえば面接では第一印象が決め手となる場合が多く、採用を勝ち取るためにもっとも重要な要素であること、その中で特に視覚(見た目)が55%、聴覚(声のトーン)38%、話の内容7%と印象の度合いが異なり、いかに第一印象が大事かということが理解された。

後半は小林専門相談員が担当。実際に31組になり、面接のロールプレイを行った。面接官2人と求職者になり、実際の面接場面を想定して行った。仲間同士の練習であるにも関わらず皆一様に緊張した面持ちで臨んだ。全員から一言コメントをもらい、褒められて自信となったり、また改善点を指摘され納得してうなずく場面もあり、大変有意義なロールプレイであった。自分では気が付かなかった良い点・改善点の指摘は的確で実際の面接で大いに役立つものと期待される。また各自人のふり見てわが身を治すの言葉通り、回を重ねるごとに自信が出てきたように見受けられ、実際の面接に生かされることが期待された場面であった。

受講者から「解りやすくとても為になった・・・。」「就活への意欲が湧いてきた

・・・」等のお礼の言葉を述べられ、大変好評の講座であった。

 

▼面接のロールプレイ


一人親家庭のための子供食堂のご案内

 

お父さんお母さんが忙しくていつも一人で食べてる君 おいでよ一緒に食べよ

 

みんな!ごはんだよ~~O(≧▽≦)